晴耕雨読の日々

我は動かぬ石かはたまた空を貫く風となるか、時折徒然を呟く

大姥百合と一緒に

【 写真・水彩画 】

If We Hold On Together
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長月句会の講評書きに時間を費やす。
例月のことながらこれが結構大変。
昔取った杵柄というか、ペンの重さに
しどろもどろとなる御年でもありつつ。
まあ、なんとかヨロヨロと筆を走らせる。

十年ほど前までは音を聴かずに
キーを叩けなかったのに今となっては
静寂の中にゐて思考が動き出す。
すわわち二兎を追えなくなっている。
これさえ馬耳東風と追いやる。

滞る思考を駆り立てようと聴いた曲。
これが冒頭のダイアナロス。
しっくり耳に馴染む。
和訳タイトルはこうしておこうか。

「私達が一緒に耐えていけば」
自分の道を見失わないで
一日が過ぎる度に
こんなに遠くまでやってきたわ
人生を投げ出さないで
信じて生きるのよ
夢は織り成すためにあるの
奇跡は幕が開くのを待っているわ

追いかけられるように月日を刻む。
それを分かりつつも誰かと一緒に
居たいと願う。人である限り。
俳句を通して肩寄せ合う仲間達。
その息吹をあなたへにも。

産声の子の齢数え天高し

珍奇なる唐茄子買ひて昼の雨

地虫鳴く校庭広き過疎の村

川端の杭をつかみし赤蜻蛉

風爽か花の名問ふて立ち止まる

振り向かぬ別れありけり山葡萄

秋まだき薄紫の安堵感

朝顔や枯れて忘るる鉢ひとつ

見上ぐれば空また空よ秋麗

弾け飛ぶ砲丸投げの女子の汗

捕らはるる三枚羽の蜻蛉かな

水彩の一筆に描く秋の雲

あの辺り鳴き渡るかな虫の声

朔北の地にもカンナの天を突く

草の実を裾に付け来て図鑑繰る

七夕や蝋燭出せと子らの声

懐かしの色づくひよこ秋祭

地虫鳴く暗き我が家へ続く道

新涼の風を仏間に艶布巾

秋晴や部屋それぞれに風の道 

秋日傘抱へ久しき古書店へ

荒畑の蔓を辿れば西瓜の子

傾きし案山子きりりと鉢巻す

風に耐え風を孕みて秋桜

父叱る吾娘のメールや秋高し

サルビアに憧れる身は風のまま

忙しなき街の空にも星流る

合戦の声張り上げてきりぎりす

新涼や遠き峰より風落つる

解夏の朝はためくシャツの白眩し

隠沼の風を哭かせて反魂草   

もう飛べぬ末期の叫び秋の蝉

暁の空にまみゆる月見して

秋ざれて暦の薄さ気になりぬ

葉擦れ聴く大樹傾き月の夜 



拍手があれば嬉しいな
   

自律を働かせ

【 詩・俳句 】

366日
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HYの哀愁歌なら366日。
一年では足らず貴方を想っていると歌う。
「うたう」とキーを叩くと候補字の筆頭は「詠う」と出る始末。
如何に俳句に傾倒しているということか。

少し前から娘に謹呈された「騎士団長殺し」を読んでいる。
「詠み」ではなく「読み」である。「黄泉」でも「夜見」でもない。
齢を重ねるということは限定された思考に陥るとあったのは
わたしの備忘ではないはず。

少しずつ狭まる思考の枠を少しずつの力で撥ねつける。
そうしようと決めたのがいつかも忘れるけふこの頃である。
謹呈の意図を察しようとくまなく文字を追うがそれも怪しい
末路になるかもしれないぞ。

とにかく思考の続く限りは幅広く事物を見詰め触れたいと。
写真は前月の吟行での一枚。
蝦夷丹生を拳に譬え遠岬
晩夏の積丹半島。神威岬の風はまだ生温い。
汝を叱咤するにはちょうどいい。

そんな戯言をものともしない仲間の句を今月も届けます。
自律で見いだせるものは限りなく少ない。他律があってこそ。

落ちかかる夏日に映ゆる紅の花

いつしかに思い出捨つる夏の海

血縁の滔々と身に合歓の花

重ね合ふ願ひの石よ夏の山

向日葵の迷路の果てに地蔵尊

日盛に半裸の父の鉋がけ

おとなしくする約束や忍冬

風待ちて愛が欲しいといふヨット

風鈴の欠片きらきら風の音

遠のきて郷の湯宿や月見草

ひと時の静けさ潰え蝉しぐれ   

読経の声もそぞろに大暑かな

トマト畑老爺が妻を呼びたる

作り滝銀のナイフのくぐもれる

抗いて沢蟹砂防ダム登る

二度くぐり茅の輪見上げて願ふこと

緋の日傘くわえ煙草のをんなかな

得意げな空また空や夏の旅

満載のダンプ操るサングラス

過ぎ去れば惜しきものなり夏の果

どこまでも大地と空の夏の旅

幼子の麦稈帽に野花摘む

蓼酢の香いつかの記憶呼び覚ます

ひと日ずつ日の暮早み夏惜しむ

蛍火やこの世のことはこの世にて

四阿に撓垂れかかる青胡桃

朝涼の水音はぐくむ山毛欅林

百年の屯田の森苔清水

聴こえくる宇多田ヒカルの声涼し

茫茫と夏草深き日に黙す 

ランナーの足一歩ずつ灼くる道

右利きや左団扇と云われても

母恋ふる声の届けと夏の星

日盛りに人影絶えて立葵 

蛸下げて畷を通る半夏生

一陣の涼風去りて大樹かな

戸を開けて朝日冷たし夏薊

咲き初むる愛花倒せし驟雨かな

あさがほに似て咲く花の昼下り

焼肉に一家言有りサングラス



拍手があれば嬉しいな
   

愛の詩を届けよう

【 愛 】

真夏の通り雨
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掲載した拙画は私の手によるもの。
幾年か前に何度か訪れた晩夏の野付半島。
道東の片隅に眠る汽水湖はまほろばの地。

何やら人にかまけてばかりの時間を費やし
自分自身に肥料を施すことを忘れる日々。
蒔いた種が実るかそれも分からずに
ただただ闇雲に疾走していた自然人。

あの直向きな男が今となっては誰なのか
それさえ気づかずにいる今日この頃。
真夏の通り雨のように偶には想い出すこと。

深遠の山々であり静謐のせせらぎである。
今でもわたしを待っていてくれるか。
そんなことを浦々と考えつつまた句座の
仲間たちの愛の詩を届けよう。

白龍の雲泳ぎゆく夏の峰  

鎖場のにはかに曇る滝谺

山百合に佇むきみを彷彿す 

差伸べる手を手で包む夏の駅

大雪のお花畑のベリーかな

かなかなや男所帯の皿洗ふ

風の音の迷ふ一隅亜麻の花 

子燕や親の後追ふ巣立ちかな

夕焼の彼方に子らの帰りゆく

清流の紫煙辿りし夏の蝶

夜濯のシャツをこまぬく蒼き夜

夜涼みや愛し小町の疎ましく

陣守る水鉄砲の少年兵

母と娘の厨に添ひて夕焼雲

紫陽花のいま盛りなる屋敷跡

葉桜や吾娘の葉書に叱られる

移りゆく季節と齢梅雨寒し

青時雨心地よきかな道祖神

雪渓の雫に川の生まれけり

くちはなの尻尾余せし草の宿

橋二本大河をまたぎ半夏生 

狭庭辺の薔薇一輪をテーブルへ

ただひとり立ち尽くしてる夏銀河

梅雨寒や俺の畑を深く掘り

ベクトルはどこに向くのか夏の果

四葩咲く還らぬ朋のブログかな   

夏雨に黙し語らぬ傘の群れ

炎天の鴉一羽の舞ひ降りて

清流に出てはゆかぬぞ山椒魚

ふくふくと李なりたり五つ六つ

ベンチへとひとひら桷の花散りぬ

屈みゐて紫陽花色に包まるる

気を消して自然となりし岩魚釣り

さみだるるシャッター街に万国旗

麦の秋方円遠く平らげり

捩花のうねりも見せず空仰ぐ

滴りに父さんの筆冴えわたる

ありがとう言ふ今日明日の夏日影

昼寝覚まだ降り続く雨に濡れ

露草や死にゆく犬の鼻の先



拍手があれば嬉しいな
   

藤が描く影

【 自然 】

雨の歌
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自然の働きにただただ驚く。
掲載の写真は藤棚の影である。
意図しないことはこの年までくると
数多あるけれど。
自分の意思すなわちこうあって欲しいと
思ったりこれだけは嫌だと思うこと。
流転のようにくるくると瓦解となる。
突如として降りかかる運命のような
出来事がこの写真。
藤が盛りと訪ねるとこの圧倒の影。
意図のない影こそが生きる道筋かな。
微妙に連関して妥協を拒まない。
そんな勝手な思いをものともしない
秀句の勢揃いである。

なまはげの里は平らぐ春の暮
友に群るお花畑の自己保身
錆こぼしつつ小満の船箪笥
此の夜らに白白浮かぶ地獄蕎麦
遠くより眼差しとらふ大牡丹
打つ雨に街は一気に若葉冷
来し方をしみじみ語る末の春
枇杷が好きその半分は種が好き
降り止みてまた降り初めぬ夕立かな
万緑や疎水の音のやはらかき  
夏花の蕾開かば紅の色
川魚捌きし父の洗膾かな
頬杖のひそと間のある夏の草
七日ほど庭を見ぬ間や夏の草
夏夕や農家に花の苗を買う
遠雷にじゃんけんの声途切れたり
夏めきて模様替えなど思い立つ
真っ新の構図一枚五月晴
音に聞く平泉いま青嵐
茶の実さえ醜女の如くなり果つる
村つなぐ吊り橋ひとつ日傘ゆく
雲の峰優しき木霊返りくる
心太突きだす夜さの汁粉椀
富士はるか友の遙かに新茶汲む 
力尽く蚯蚓の空の高きこと
堂々とショートパンツのをんなかな
暮れかけて海月のように淡き月
ジョバンニと賢治を越えて春の虹
待ちわびて足跡重ね木下闇
皐月雨道の草にも降り注ぎ
かはほりの飛行は何にあやつられ
廃坑の町を出でけり羽抜鳥
夏蝶と奈良の小道を横切りぬ
水中花いのち始まる泡一つ
夏帽の数だけ好奇心あらん
うらうらと京を眼下にみどり摘み 
夏めきて全てのものの立ち上がり
君と見る遠野の初夏やかつぱ淵
鉄柵に目先の利きてクレマチス
いっぱいに蛇口を開けし夏の庭



拍手があれば嬉しいな
   

春の妖精に逢う

【 徒然 】

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立夏の過ぎた札幌。
なのにベランダから望む山並みはまだ雪が残る。
大方しばらく予定していたことが片付いたので
春の妖精を見に出かける。
もちろんニンフはスプリングエフェメラルである。
可憐な二輪草の咲く野原の背景は雪嶺が。
隆々と聳え立つ雪の山はまだ春を終わらせない。
今月も変わりなく仲間の人たちの句を披露します。
徒然の日々の中で綴り合った息吹きをどうぞ。

今はまだ家路を避けて春の宵  

両手なら五指に収まる春銀河  

先延ばししていたものに春の雷  

人混みに溺れ浮上す春の鴨  

真っ青な空得意げに春の昼

荒畑に覚えなき朱の鬱金香 

水色の空に春雲カフェの窓 

匂ひ立つ素馨の花や稚児の家 

人の来ぬ雨の桜よ吾来たり 

花の間を縫ふて飛行機雲のゆく 

春雷の彼方へ浅き水の音 

行く春や薄茶三口に畳の目 

黒髪のひかり豊かに花の風 

夜の帳降りて桜に明けし朝  

花冷えの廊下に重く陶の壺

一斉に空持ちあげて花水木

猫ひとりいざ春闇に出陣す

蘖の倒れし母樹の命かな

季節越え亡き人繋ぐシクラメン

竹秋の見渡す山は立ち騒ぐ

ラムを焼く煙花蒸す北の宴

結婚す友の手紙や春愉し

猫の目の煌々として春の果

遠足のおかず泥棒黒烏

空き家とて今年も咲けり木瓜の花

津軽路の林檎の花や小布刺し

幼子へ渡す襷の風光る

雲雀鳴く微睡いまや呼び覚ます

種芋の切られ化粧の土へ嫁す

キルト縫ふ日永に描く愛の詩

貸し茣蓙に花冷え捲きて立て掛ける

散る花は散らせて山は重くなり 

縄文の丘を従へ土筆伸ぶ

桜散る朝マネキンの無表情

春風や二塁ベースにをんなの子 

里山の闇始まりて朧かな

風の街風に向かへよ風車

生垣の鼻の高さの躑躅かな

旅立ちや駅舎の梁の燕の巣

春耕の土に備えし農具かな

風光る水平線を隠す街

後ろより友が駆け寄る春外套

春昼のどこかの路地で時止まり

朧夜の湯を踏む音の聞こえをり

覚めやらぬ睡り囀り抱いている



拍手があれば嬉しいな
   

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プロフィール

◎ 今人- imajin

Author:◎ 今人- imajin
湿ったアスファルトには
春風が消え夏の息吹が漂う
あの青々とした山間に棲む
コロポックルの戯れ
邪気のないことに憧れて
恋焦がれる思いを託すのさ
鈍色の空を只管仰ぎながら
何度薄暮の時間を迎えたか
長い長い冬の時間に萎れて
灯りを見出せないままの辛さ
無為の日々を過ごすことは
とてつもなく悲しい
影のように重なる自分が居て
ただその場に蹲っていた
閃光のような光が与えられて
照らし出されたわけでもなく
今を生きていることに気づく
そうさ多くは望まなくとも
森羅万象に眠る慈愛を
つまびらかに明かすが良い
葉漏れ陽に包まれて
僕は此処に居る

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

冒頭の詩は、今を生きる人
をタイトルにしています。
あまり、肩肘を張らない
タイプの人間ではあります
が、少し勢いを付けたいと
思う今日この頃。

詩のタイトルに倣って、
筆者名は【今人-imajin】
となりました。お気づきの
ように、ジョンレノンの
イマジンも模倣した訳です。

どちらかと言うと、
アスファルト・ジャングル
よりも山川に出没するのが
多いのですが、テリトリー
ではないので、吠えません。
万物万象には、畏敬の念を
忘れないようしています。

ただ自然の中にあるエナジー
は、日々の暮らしの糧になり
ますので、ちょいと拝借を
しています。
その場で文筆や写真・水彩の
記録をさせてもらってます。

その時折の呟きやら写真・
水彩画などを掲載するつもり
でいます。お訪ねのあった
機会には、拙い散文の背景や
行間を探ってみてください。

筆者として望外の喜びです。
よろしくお願いします。

連絡先はこちらに
banshow114☆yahoo.co.jp
☆を@に変えてください

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