晴耕雨読の日々

我は動かぬ石かはたまた空を貫く風となるか、時折徒然を呟く

流水行雲を忘れずに



                           カテゴリ 【愛】


   ツグミの声   
             牟礼慶子
              
   季節は穏やかにめぐり
   大空はあくまで澄み
   果樹は甘く実を結んだ
   そしてツグミも今年は
   いつもの枝に帰ってきた

   はるかな林から林へ渡る
   百千の鳥のさえずりの中
   短く鳴いてやむ
   あの低い声を聞きわけるのは
   あれは私を呼んでいる声だから

   あの人の呼ぶ声は
   心の底まで届いていたのに
   抱き寄せられる前に
   立ち去るすべを選んだ
   あまたのことばよ

   共にとどまることも
   飛び立つこともしなかった私は
   あの人の胸深く生い育って
   さやさやと緑の葉を揺らし
   声のないことばで答えようとした

   ついに羽を連ねて飛ばなかった
   遠い日の哀しみは
   今はもう甘く実を結んで
   明るい静かな光の中
   ツグミの呼ぶ声を聞いている



写真添付 (450x338)


愛をカテゴリの中に加えたことを今更悔やんでいる
・・わけではない。それにしてもキータッチは微睡む。

アンニュイな顔立ちの今井美樹は愛の詩をなんの
外連味もなく、切々と歌い上げる。

鮮烈な愛を忘却の彼方に置いて仕舞った人は誰?と
問うまでもなく、わたし自身が応えを曳きだす。

詩人牟礼慶子は女流作家として本流を歩いてきた。
「ツグミの声」にも愛の言霊が流流と連なっている。

愛を素直に表現できないのは、既に恋愛を遠ざけた
空っぽの精神がいつまにか宿ってしまったのか。

一昨日訪問した施設。大勢の車椅子に囲まれた中
哀調の「花嫁人形」をたった一人で弾き歌った。

作詞家の蕗谷 虹児さんは早逝した生母に花嫁衣装
を着せたいと願い、この歌を綴り明治に亡くなった。

愛は普遍であると後世に残したのかもしれないなあ。
その思いは流水行雲、流れる水と空行く雲のよう。

この頃は植物画を静かに描いている。ラフスケッチ
をしてから、絵の具を何色かそっと画紙に置く。

いつか、どこかで見た花色と葉の形が鮮明な記憶
を甦らせる。こんな幸せな時間はほかに無い。

迷わず多くのことに執着しないで、自然の成り行き
に任せていれば、愛はきっと繋がれてゆくだろう。





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*Comment

ツグミの声 

牟礼慶子さんのこの詩を読んでなんだか胸が潰れそうになりました。
現実では実を結ばなかったからこんな美しい詩になるのでしょう。

最後の五行と「つぐみの声を聞いている」という終わり方みごとですね。

心打たれる詩は悲しみに結びついているような気がします。
  • posted by 笹峰霧子 
  • URL 
  • 2014.06/19 17:24分 
  • [Edit]

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プロフィール

◎ 今人- imajin

Author:◎ 今人- imajin
湿ったアスファルトには
春風が消え夏の息吹が漂う
あの青々とした山間に棲む
コロポックルの戯れ
邪気のないことに憧れて
恋焦がれる思いを託すのさ
鈍色の空を只管仰ぎながら
何度薄暮の時間を迎えたか
長い長い冬の時間に萎れて
灯りを見出せないままの辛さ
無為の日々を過ごすことは
とてつもなく悲しい
影のように重なる自分が居て
ただその場に蹲っていた
閃光のような光が与えられて
照らし出されたわけでもなく
今を生きていることに気づく
そうさ多くは望まなくとも
森羅万象に眠る慈愛を
つまびらかに明かすが良い
葉漏れ陽に包まれて
僕は此処に居る

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

冒頭の詩は、今を生きる人
をタイトルにしています。
あまり、肩肘を張らない
タイプの人間ではあります
が、少し勢いを付けたいと
思う今日この頃。

詩のタイトルに倣って、
筆者名は【今人-imajin】
となりました。お気づきの
ように、ジョンレノンの
イマジンも模倣した訳です。

どちらかと言うと、
アスファルト・ジャングル
よりも山川に出没するのが
多いのですが、テリトリー
ではないので、吠えません。
万物万象には、畏敬の念を
忘れないようしています。

ただ自然の中にあるエナジー
は、日々の暮らしの糧になり
ますので、ちょいと拝借を
しています。
その場で文筆や写真・水彩の
記録をさせてもらってます。

その時折の呟きやら写真・
水彩画などを掲載するつもり
でいます。お訪ねのあった
機会には、拙い散文の背景や
行間を探ってみてください。

筆者として望外の喜びです。
よろしくお願いします。

連絡先はこちらに
banshow114☆yahoo.co.jp
☆を@に変えてください

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