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晴耕雨読の日々

我は動かぬ石かはたまた空を貫く風となるか、時折徒然を呟く

これが愛だったなんて

【 写真・水彩画 】

  さよなら
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何度さよならと小声で言い
何度さよならと告げられたか
断崖絶壁の瀬戸際でもなく
深遠の穴底でもなかったのに
今でもあの夕焼けの色が心に残る
好きだと思うばかりに一途な時間
いつまでも忘れずにいてと
耳の奥までその声が湧き出す
もう果てしない時が過ぎて
ぼくの心は遠い空に消えてしまう
ああこれが愛だったなんて知りもしない

十年以上あるサイトに詩を綴ってきた。
真っ直ぐな思いをひたすらぶつけた朧の時間である。
この間にわたしも随分と齢を重ねた。
先ほどそのサイトに「さよなら」を告げた。
出来る限り息づく想いを伝えたいと考えていたが
そろそろ潮時である。
潮時はわたし自身のことにしか過ぎない。
これも残された人生の一コマだろうと信じる。
十年にわたる詩の思いはこんな句に昇華しています。


◇ 長月近詠 ◇
解夏草に触れ一刻の祈りかな
わが手から離れしものよ水の秋
風裏に今は身を置きこぼれ萩
匙窪に銀の朝露かしこまる
鳴き止まぬ蜩を背にこの地去る
父さんと呼んで今年の墓洗ふ
かき合はす襟元騒ぐ初嵐
手の平にある鳳仙花のいたずら
明日見えぬ空悠然と鳥渡る
絶海の星瞬きぬ月見草
約束の膳に馬鈴薯煮てください
秋色の記憶に時計台の鐘
さざ波のやうな秋風まとひつく
匂ひ立つ草の香に我立ち尽くす
初菊を手折りて母の傍らに
八枚の花びら憂ふあきざくら
句読点打つて安堵の桐一葉
階段を上ると正午終戦日
友くれし朝顔けふも空目指す
今宵こそあの流星を手に受けん
切々と異国の歌や根無草
一太刀を阿修羅のごとく鷹の爪
泣きとおす山二つほど秋の雷
枝先にいとも無言の秋日影
この五指をただ徒に女郎花
頬杖をつく右角の秋日和
溝萩や哀しきほどの花姿

 
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最後の言い訳はもう少し先に

【 詩・俳句 】

最後の言い訳
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写真はポピーを葉裏から撮る。
他人様を裏側から覗くことは滅多にないが
こと自然物であればこの挙動は止まらない。
例えば河口から源流からまでの川歩き。
葉脈の規則性と不規則性の矛盾等々。
森羅万象に眠るものはけして語らないことに
ただただ惚れぬいてきた人生である。
少し潰え始めた情熱は齢のせいと決めつけず
最後の言い訳を先延ばしにしよう。
そんな思いを句に置き換えてみました。

◇ 葉月近詠 ◇
ペコちゃんの舌長々と炎天下
口笛を吹き悔しさを断つ青田
えぞにうの風引き戻す遠岬
星涼し吾娘に伝える母のこと
平凡を非凡と装ふサングラス
古書店の閉ざす戸口に大南風  
山頂のケルンに触れて雲の翳
山襞を見せず青嶺の深眠り  
人去りて初蝉を聞くひと日かな
七月の雨が教える夜のとばり  
日高路の尾根隆々と馬冷す
象の耳払ふ大暑のもどかしく  
お百度の願ひ叶えて梅雨の蝶
沢筋を脱兎のごとき晩夏光  
得意げに斑を躍らせる群山女魚
ごんごんと山迫りくる旱空   
青鳩の喉をうるほす潮境
風死して忘却の二字を語らず  
忘れ得ぬ人の便りや亜麻の花
雲海をただ一望の縦走路  
ありたけの父が残せし草いきれ
ゆるゆると木魂育む青時雨   
病葉の一枚を手にまた無言
円虹の架ける平和と言ふ地球  
いざ行かん白帆棚引く水芭蕉 
彩雲の影を踏みゆく夏山路   
萍や無心に浮かぶ我が余生 
西日受け石斧を天に振り翳す  
慎ましく別れのやうな独活の花
渓谷の水声誘ふ盛夏かな    
木道の騒めき沈めちんぐるま 
灼け砂を真直ぐに歩む少年期  
姥百合の種まき散らす離農跡
片陰に黙すをとこの無一物   
ひねもすを漫ろに歩く風露草
徒然と言の葉紡ぐ夜の秋    
登校の列を乱さず合歓の花
大楡の葉音に気づく秋隣    
手に触れし夢想を摘んで蛍草
混沌の世に泰然と端居かな   
車椅子押す細腕の花さびた
形代や万象と言ふこの素顔   
行き合ひの空に転げて青胡桃 

 
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追悼

【 愛 】

君がいないから
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カテゴリは愛である。
「愛」を語る諸説は数多あるが一番しっくり届くのは。
人間の根源的感情として全人類に普遍的であり、
人格的な交わりや人格以外の価値との交わりを
可能にする力である。
心震えるほどの未曽有の大災害。
天災とはいえ為す術のなく手をこまねいている自分。
愛の末節にあるのは「自分以外の価値と交わりを
可能にする唯一の力」と明記している。
人との繋がりが空ろな今だからこそ何かできない
ものかと問うばかりです。
そんな思いの中で今月も拙句を公表したい。
ほんの少しでも安らぎが届くと良いのになあ。


◇ 文月近詠 ◇
残生をただ菩提樹の花の下
牛飼いの嫁仰ぎ見る梅雨の星
青白き独逸唐檜の夜鷹啼く
鍵穴の闇あかあかとはたた神
青天の道ひけらかす蛇の衣
早苗饗を迎え暮色の帰心かな
昼顔の手を差し伸べて崩れ砂州
字足らずの筆隠し置く百日紅
五月雨の染み方円に散らばりぬ
山のごと干草背負ふ朝の五時
現世へ出船漕ぎ出す白夜かな
釣り人の両肢に遊ぶ蚋の群
藺の花や母の褥のもどかしく
孑孑のいと水舐める喉仏
四葩咲くこの約束を忘れじと
山影も映し田植の水鏡
純真を花言葉とし百合の花
寂れゆく夜の切々と草蛍
訥々と語り部の問ふ沖縄忌
横顔の美しきを娶る芸香
只中の構えしばしの子蟷螂
杣家まで十薬の花開かざる
幽谷の瀬音に佇ちて河鹿笛
泣き黒子また一つ増え鹿の子百合

 


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あなたの存在

【 自然 】

You Raise Me Up
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冒頭の曲は♪You Raise Me Up。意訳は何か。
差し詰め「あなたの存在が私に力をくれるからこそ
今の自分を越えて頑張れるよ」となるかも。
あなたの存在って良いなあ。
内に閉じこもってばかりの人生じゃつまらないと
気づくのなら存在を心の在処にすれば良い。
そう思いこのブログを書き始めたのは五年前。
多くの人にアクセスをしてもらい今の自分がいる。
ちょうど五年経ったので少しだけ体裁を替えるつもり。
句座の仲間の作品ではなく私自身の愚作を披露。
もちろん誰かの存在があってこその筆致である。
追補-写真は石狩ハマナス公園での撮影。
石狩浜はちょうどハマナスが花盛り。
手前にハマナスを置き中景に灯台をとレンズを
向けると木道を走って来た幼子が現れる。

◇ 水無月近詠 ◇
ゆらゆらと思ふ人ゐて余花の頃
翠巒へただ無垢の声呼びかける
一湾の廃船疼く海霧の中
泉湧くこの地を守り瀬々の里
若夏の影あらあらと踏んでみる
跡形もなく父遠き麦の風
拠り所なきを繕ふ蜘蛛の糸
踊る火の大蛾を悪女と罵る
緑陰や語るべきこと何もなく
魂を売るほど甘くない清和
母の日に走り根の語彙伝え聞く
白亜消え全山を知る今朝の夏
愚痴ばかり言ふて卯の花腐しかな
今さらに旧時を語る青葉木菟
皺の手に刃筋きらりと蕗を刈る
独り居をこれ幸いと更衣
閑寂の境地に向かふ道をしへ
せめぎ合ふ思潮束ねる滝の道
沈水の句想新たに浮いてこい
諧調の景さやさやと夏に入る
片減りの靴そのままに夏野原
折々に触れ観山の風青し
小窓打つ白雨に流す身の埃
赤裸々に告白散らす芥子の花
 
拍手があれば嬉しいな
   

春の夢

【 徒然 】

春の夢
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少し前の3月まで。
まあ良くぞ遮二無二何に賭けていたのか。
齢を考えるとそんなにできないわけがないのになあとも。
さまざまなことを何やら整理をして気づくわけである。
少し前の新聞に同床異夢の文字があったけれど。
何やら春の夢とは少しだけ違う。
どうせ一度の人生ならばそう容易くは時を過ごせまい。
そうのたまうて生き様を貫くこともかつては知っていた。
同じ轍は踏まないとの誓いも危ういところだがもう少し
先送りの春の夢と相成ろうか。
けして同床異夢ではない「異床同夢」ともいうべき句友
の息吹きを今月も伝えたいと思う。


出で渋る満月拝む春夜かな

芳しき蜜柑の花や侘住い

木洩れ陽や囀りのなか句作せり

影落とす勿忘草の回り道

葉桜の揺れて戸口の影絵かな
  
囁きを聞き逃したり春の風

振るたびに微かな叫び種袋 

春ゆけり風の意のまま濯ぎ物  

春日射す木立いよいよ息深く    

約束を守り通して花いちげ 
   
囀の途絶えて深き空の色

山藤の溢れ降られる車窓かな

空と海青さの増してアイスティー

春深し谷間の緑ざわめいて

白浜の浅利の殻に色移り

行く春や戻らぬものの多きこと

見せばやな玉ぞ如しの花の雨

瞬きの度に消えゆく春の虹

新聞を縛り八十八夜かな

マネキンのスカート短か夏近し

東帝に夢の続きを語る人

そよ風に髪を梳かせて草若葉

角までも金平糖は桜色

後悔の人もをりはや四月尽

苺ミルクくれろと吾子はだはんこき

箸使ふ國に生まれて桜好き 

源氏名の門灯点る花の夜 

朧夜の花瓶の水は減りにけり

人はみな泣いて生まるる涅槃雲

黒板に先生のあだ名書く四月 

夏めくや子犬斜面を駆けのぼる

制服の袖丈余す入学式

傷むまで母はバナナを取っておき

蜘蛛の巣や左岸の枝を手繰り寄せ

本当は目立ちたくないチューリップ

田水引きひとつ安堵の暮の春

煌きのいよいよ増して夏来る

巣燕の下半分は乾きをり

昼蛙釘打つ音にまぎれけり

今朝の色今朝の香りは薔薇の園 

春深し誰か来るよな心地して

春蝉に黙す僧衣の濡れ羽色

飛ぶものは鳥にはあらず春疾風

初夏の空色ケトル買ひに出る

母の日の花束いつもモネの色
 

拍手があれば嬉しいな
   

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プロフィール

◎ 今人- imajin

Author:◎ 今人- imajin
湿ったアスファルトには
春風が消え夏の息吹が漂う
あの青々とした山間に棲む
コロポックルの戯れ
邪気のないことに憧れて
恋焦がれる思いを託すのさ
鈍色の空を只管仰ぎながら
何度薄暮の時間を迎えたか
長い長い冬の時間に萎れて
灯りを見出せないままの辛さ
無為の日々を過ごすことは
とてつもなく悲しい
影のように重なる自分が居て
ただその場に蹲っていた
閃光のような光が与えられて
照らし出されたわけでもなく
今を生きていることに気づく
そうさ多くは望まなくとも
森羅万象に眠る慈愛を
つまびらかに明かすが良い
葉漏れ陽に包まれて
僕は此処に居る

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

冒頭の詩は、今を生きる人
をタイトルにしています。
あまり、肩肘を張らない
タイプの人間ではあります
が、少し勢いを付けたいと
思う今日この頃。

詩のタイトルに倣って、
筆者名は【今人-imajin】
となりました。お気づきの
ように、ジョンレノンの
イマジンも模倣した訳です。

どちらかと言うと、
アスファルト・ジャングル
よりも山川に出没するのが
多いのですが、テリトリー
ではないので、吠えません。
万物万象には、畏敬の念を
忘れないようしています。

ただ自然の中にあるエナジー
は、日々の暮らしの糧になり
ますので、ちょいと拝借を
しています。
その場で文筆や写真・水彩の
記録をさせてもらってます。

その時折の呟きやら写真・
水彩画などを掲載するつもり
でいます。お訪ねのあった
機会には、拙い散文の背景や
行間を探ってみてください。

筆者として望外の喜びです。
よろしくお願いします。

連絡先はこちらに
banshow114☆yahoo.co.jp
☆を@に変えてください

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